Violin 🎻 Russian Style blog

オイストラフの流れを汲むロシア流の奏法についての研究・考察と実践方法の研究をしています

エレーナ・アシュケナージ先生

フェイギン先生の奥様、エレーナ・アシュケナージ先生は、ウラディーミル・アシュケナージ実妹です。お顔もよく似ていらっしゃいます。

 

英語が苦手なフェイギン先生に変わって(私も大して英語は喋れませんが!)、用事がある時によく電話をかけてくださいました。

 

音楽はとても情熱的で、音楽のことについてはとても情熱的にお話しされていましたが、私たちヴァイオリンの生徒にはいつもにこにこ優しく接してくださったのが思い出されます。

 

演奏に厳しさあり、終わるとパッと笑顔になられる、演奏もとてもエレーナ先生らしい動画を見つけました。

 


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思い出

フェイギン先生と奥様のエレーナ・アシュケナージ先生が、お話されている懐かしい映像です。

 

大学学舎の一室にお住まいでいらした先生ご夫妻。

 

そのご自宅のレッスン室内です。

 

ここでもレッスンしていただいた懐かしい思い出です。

 

おそらく2002、3年頃だったと思います。


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フェイギン先生のショパン

最近朝起きると、まず配信終了されたばかりのの演奏を聴くのを楽しみにしていたショパンコンクールも、ついに終わってしまいました。

 

世界トップレベルのコンクールが生配信で見ることができるなんて、とても幸せな日々でした。

 

いろいろなコンテスタントを聴き比べしたりとても楽しませてもらいました。

 

私が一番好きだと思ったピアニストは、4位入賞のポーランドヤコブ・クシュリクさんでした。音楽が大変素晴らしかったです👏👏


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そして、特に最後の数日はピアノコンチェルトを聴きすぎて、思い出さずにはいられないこの曲をご紹介します。

 

フェイギン先生の演奏です。(Piano Victor Poltoratsky、録音年不明)

 


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調が違うのでピアノの方には不満ではあるかと思いますが、ヴァイオリンでもショパンのコンチェルトが弾けるのです。

 

ウィルへルミというヴァイオリニストが編曲したもので、ヴァイオリンらしく華やかに弾ける調性、技巧の曲となっています。

 

以前この曲の楽譜をヤマハで問い合わせましたが見つからず、ISLMPで見つけた時は大変嬉しかったです。

 

そして、先生が帰国する直前に最後のレッスンで聴いてもらった思い出深い曲でもあります。

 

フェイギン先生の録音とは多少楽譜が違いますが、楽譜もご紹介します。

 

スコア↓

https://s9.imslp.org/files/imglnks/usimg/7/71/IMSLP300671-PMLP03805-ChopinWilhelmj_Romanze_Piano.pdf

ヴァイオリンパート↓

https://s9.imslp.org/files/imglnks/usimg/9/9b/IMSLP300672-PMLP03805-ChopinWilhelmj_Romanze_Violin.pdf

 

ここにはピアノコンチェルト第2番の第二楽章ラルゲットの楽譜もあります。

 

Youtubeでも見当たらない曲なので、大変貴重なものかもしれません。

 

ぜひお聴きください♪

なぜオイストラフの演奏は派手な動きが少ないのか?

オイストラフの演奏は、直立不動で弓をラクにササーっと動かしていて、綺麗だと思ったことはありませんか?

 

動きが少ないからといって表現が乏しくなるのではなく、オイストラフはその逆であり、出てくる音の音楽は非常に情熱的であります。

 

音楽性については一概に右手の奏法だけが要因ではないですが、でも確実に右手の素晴らしい奏法があるからオイストラフの音楽は素晴らしいのです。

 

私が定期的に見ている動画をご紹介します。


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オイストラフの若い頃の貴重な映像資料です。

 

なぜ何度も見たくなるかというと、オイストラフの右手の技術の高さが凝縮されているようで、見ていると原点に引き戻してくれるように感じるからです。

 

一見するとシンプルな、体の過剰な動きがありません。

それは、体全体を使わなくても右手のみのコントーロールで音楽を表現できるということであり、高度な技術を持っているということです。

 

オイストラフの奏法の何が良いのかを考えると、大きく分けて次の2点だと思っています。

 

①右手人差し指を使った『コネクション』

 

②右手手首を使った『コントロール

 

①についてはこのブログでお伝えしているコネクションのことです。

 

コネクションとは、右手親指を支点とした時、右手人差し指が力点、弓の毛と弦が接地しているところを作用点とする“てこの原理“を考えるとイメージしやすいと思います。

 

てこの原理には3種類あり、そのうちの「第3種てこ」と呼ばれるものです。

主なものに、お箸、ピンセットなどがあります。

 

支点が一番端に来るパターンであり、人差し指のコネクション(圧力)の強弱によって力点の強さが変わり、弓と弦が接地する圧力が変わります。

右手人差し指は、力点ですが、肩や腕を使って力ずくで人差し指から力を入れるわけではありません。

前方に突き出した“右手を左にちょっと傾ける“だけの圧力のかけ方が基本となります。

 

コネクションの圧力の話をしていますが、しっかりした音、音を減衰させない時に使用するだけではないのです。

 

上の動画の中で手を浮かせてふわっふわっと弾いているように見えるところは、親指が支点であることには変わりはないのですが、腕全体で手を持ち上げることにより、弓が弦に触れる量を変化させています。

 

そんなの当たり前だろうと思われると思いますが、人差し指のコネクションの感覚がある人が弾く腕を上げてのふわふわな音と、そうでない人のふわふわな音は天と地ほど違いがあります。

 

こういうところでも右手人差し指のコネクションの感覚は常にあります。

 

②の手首については、上の動画の冒頭から何度も出てくるスタッカートの部分で、右手首の円を描くような動きが頻繁に見られ、その特徴がよくわかると思います。

 

まるで、肩から肘まではどこも動かさず、手首のみでスタッカートをしているように見えるのが特徴です。

ここまで手首のみで弾いているヴァイオリニストはそうそういないのではないでしょうか。

腕も使ってのスタッカートをされる方が多く見られます。

 

オイストラフはここまでできるのです。

 

「手首を柔らかく」と指導されることはよく聞く話ですが、、ただ単に手首を柔らかく動かせばいい、という訳ではなく、「手首を使って出したい音をコントロールできるか」が重要です。

 

この時も弓の毛と弦の接地する部分の感覚は持ち続けており、つまり右手人差し指のコネクションの感覚が大事になってきます。

 

そのためにも手首を使う練習をするのですが、この練習が実は大変難しいのです。

 

私は、グレゴリー・フェイギン先生のレッスン第一回目に手首の練習の仕方を習いました。

当時はどういう意味があってこれをやっているのかは、今ほど理解していませんでしたが、徐々に理解していきました。今でも大変重要な練習だと思っています。

 

生徒さんにもやるよう指導するときはありますが、難しくて(私が?!)挫折してしまうことが多いです。(詳しい練習方法を後日お伝えできるといいですが、、、これも難しそう)

 

まとめると、オイストラフの演奏が派手な動きが少ない理由は、右手のコネクションと、手首を使った音のコントロールが尋常でないほど素晴らしいから、ということです。

 

上の動画からは、ふわふわな音とスタッカートで一瞬圧力をかけたいところの音の変化が巧みであるということが一目瞭然です。

オイストラフの演奏の表現の幅がとても広いということ(豊かな音楽性)へ繋がってきます。 

 

決して、しかめっ面をして、体を動かせば表現がプラスされるわけではないのです。

右手のコントロールでここまで音楽を表現ができる人のはオイストラフが別格ではないでしょうか。

Happy Birthday!!

本日、4月28日は、グレゴリー・フェイギン先生の84回目の生誕記念日です。

 

2018年3月29日に亡くなられましたので、81歳目前の80年の生涯でした。

 

その前年、2017年3月にモスクワへ帰国されました。

 

モスクワへ帰国してから1年の間に奥様のエレーナ・アシュケナージ先生を亡くし、先生ご自身も亡くなられました。

 

喘息など持病をお持ちのようでしたし、日本にいる頃に救急搬送されたお話も聞いたことがあります。

 

タバコもそれはそれは大変(!!)好まれていました。

 

日本の食べ物もお口にあったかどうかわかりませんが、慣れない異国の地で、長らく指導してくださったことに感謝しかありません。

 

そんな先生を思い出しながら、今日は、この一曲を聴きたいと思います。


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ロシア流奏法のイメージ

私は大学2年時より、フェイギン先生に師事しました。

 

当時はとても従順な生徒であり(いい意味でも悪い意味でも・・)、すごい先生らしい先生に習っている下手な自分という何か先生に対する恐れのようなものがあったのでしょう、、言われたことはとりあえず「はい!」と従って練習していた記憶があります。

 

第一回目のレッスンでは、とりあえずスケール、練習曲、曲とその時弾いていたものを弾きました。全部聴き終わってから、それらの細部にはあまり触れず。クロイツェル(定番の練習曲集)のある部分を右手手首のみを使って弾く、という課題が出ました。

 

この練習方法についてはまた後日詳しく書こうと思いますが、これらを続けているうちに、一年半くらい経った時に気がついたのです!!

 

今まで「弾く」ということは、弓を動かしているつもりだったが、実際は右手と右腕を横に動かしていただけ!!

 

本当は右手右腕を動かす、ではなくて、『弓をどう動かすってことじゃないか!?』と!!

 

文章から理解できますでしょうか?

 

みなさん無意識のうちに、弓は右手右腕を使って左右に動かすものだと思っていませんか??

 

違うのです。弓は、右手人差し指のコネクションによって、弓をどのくらいの圧力で、どのくらいの長さを使うべきかを考えてコントロールをされるべきものでした。

 

以前も書いた右手のコネクションの仕方に慣れてくると、今までの考え方がまるで違ったのだと気がついたのです。

 

コネクションについて考えるときにいつも頭に浮かぶのは、

 

“まるでバターナイフでバターを塗るみたいだ“

 

ということです。

 

バターナイフ=右手人差し指によるコネクション、つまり、バターナイフはバターに対して斜めにおいて横へスライドするように塗る=弦と接する弓に対して右手を斜めにして弓を動かして音を出す、と思うのです。

 

バターを塗るのに肘や肩を動かそうと思って塗りませんよね?

 

つまり、物が作用するところに対して意識することが優先で、それに付随する動き(肘や肩)は必要な場合のみ考えれば良いのです。

 

手首以下の部分を意識している!と思うかもしれませんが、それでもまだ物足りないのです。

 

多くの方は弓を持つときに上から持つイメージではないでしょうか。その状態で弓を横に動かす。。

 

バターを塗る感覚を同じだと思うと、弓に対して水平方向から弓を持ち、人差し指のコネクションにより弓をコントロールしているのです。

 

また、右手の指のコネクションを意識できてコントロールできたときには、肩から手にかけての無駄な力が抜けるのです。

 

右手を少し左に傾けて圧力をかけようとすると、右肘も自然な高さになるのです。

 

私はそれにより肩の緊張具合がかなり改善しました。

 

それまで一生懸命練習すればするほど両肩が痛くてしょうがなかったのです。

 

それを先生方に改善策を聞いたこともありましたが、いまいち解決していませんでした。

 

右手のコントロールによって音楽表現が容易に可能となれば、体を過剰すぎるほど動かすという誤った音楽表現手段を使わなくても良いのです。

 

とはいえ、当時はまだまだ体を動かしていたのですが。。。。

 

今は少し成長していると思います。。

忘れずに見たい番組

https://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/original.html?i=26597&f=fb&fbclid=IwAR1jomCmdQos6nJ8IHLf51pbNkuMWyAkMOCX2Tt7NFby08-AytchR2qeVgo

 

12月23日(水)[BS1]後11:00

 

私は、奏法には興味がありますが、弓や楽器自体については全く詳しくないのです。

 

フェイギン先生は「楽器じゃない」、つまり、‘’良い音や良い音楽は、良い楽器を使うかどうかではなく、自分の腕次第だ”、と言うことを言っていました。

 

しかし、この番組は見なければ!!

 

楽しみです。