Violin 🎻 Russian Style blog

オイストラフの流れを汲むロシア流の奏法についての研究・考察と実践方法の研究をしています

オイストラフとリヒテル

オイストラフの演奏は、Youtubeに多くアップされているので、今でも手軽に見ることができるというのはとても幸せなことです。

 

本日のおすすめはこちらです↓


David Oistrakh - Brahms - Violin Sonata No 3 in D minor, Op 108

 

ブラームスのヴァイオリンソナタ第三番、ピアニストはリヒテル

 

リヒテル Sviatoslav Richter(1915〜1997)は、オイストラフ(1908〜1974)より7才年下であり、同時代に活躍したロシアのピアノの大巨匠の一人です。

 

先週のNHKの番組、“ららら♪クラシック“の中で、オイストラフリヒテルのとても興味深い話がありました。

  

ロシア語通訳の河島みどりさんが思い出話を語っています。

興味深いところを抜粋、少し意訳させていただきました。

「本当に尊敬してた 二人とも」

リヒテルは何回も素晴らしいと言っていた」

リヒテルは、オイストラフのことを『彼は誠実で、仕事に一生懸命で本当に素晴らしい人間だ』と言っていた 」

 

(1967年からデュオを組んでいた二人だが、次第にリヒテルが距離をとっていたことについて)

「嫌になったのではなく、時間がなかった」

「二人とも売れていたから、二人で練習する時間がなかった」

リヒテルは自分のスケジュールがあって、自分が納得できるまで練習したい」

「その時に素晴らしい演奏ができるかできないか、それが時間」

 

リヒテルは、毎日8時間練習したいと言っていた」

「今日は5時間だからマイナス・・・毎日日記をつけている」

「みんなが8時間しなければいい(と言うけれど)、、、、そうはいかない!と言っていた」

「大変な方でした」

 

私としては、リヒテルも大好きな音楽家の一人なので、後半のエピソードの方に惹かれました。

 

まるで神様の音楽を演奏をするリヒテルですが、音楽に対する完璧主義と莫大な練習、努力の賜物なのですね。。尊敬します。

 

そのエピソードを聞いてから改めて聴くとさらに感動します。

 

冒頭にご紹介したブラームス、8:58からの第二楽章をぜひお聴きください。

 

これぞ“神の音楽“!!

 

フェイギン先生 Amazon Musicに発見!

Grigoy Feiginで検索すると、Amazon  Musicにもありました!!!

 

迷わずUnlimitedに登録しました!今なら3ヶ月無料です。

music.amazon.co.jp

 

フェイギン先生の録音は市販のもの、私製版のものはいくつか持っていましたが、これは聴いたことがない曲!

 

他にも実兄のValentin Feigin氏とのトリオの楽曲も聴くことができます。

 

オススメです!

恩師グレゴリー・フェイギン先生

私が今の考えに至るようになったのは、グレゴリー・フェイギン先生のお陰です。

 

私は留学はしていませんが、日本にいながら外国でしか得られないような本当に貴重な指導をしていただきました。

 

学生時代、学部生から院生時代に5年間、卒業してからも断続的にレッスンに通っていました。

 

今は亡きフェイギン先生の動画は、「Grigory Feigin」で検索するとYouTubeに2本見つけることができます。

 


Shostakovich (arr. G.Feigin) Fantasy Reminiscenve about "Lady Macbeth of the Mtsensk District"

 

 

奥さまであるエレーナ・アシュケナージ先生(かの有名なウラディミール・アシュケナージ氏の実妹)との貴重なデュオ。今は亡きエレーナ先生にもお世話になりました。。

 

この曲はマイナーな曲なので、有名なバッハのドッペルコンチェルトをお聴きください↓


Georgi Badev - Live in Japan 2003 - Bach, Haydn, Vivaldi

 

5:49からのフェイギン先生の2楽章冒頭に注目です!

 

素晴らしい音楽と、懐かしい先生のお姿に涙が出てきます。。。

右手のコントロール 〜Teo GERTLERの演奏から〜

ロシア流の奏法って何だ?の記事で、右手のコネクションのため、人差し指と中指の接着する部分についてお話ししました。

特に弓先ではその二本が重要ですが、弓元にきたときには弓を浮かせる場合もあるのでその時は必ずしも中指は接着しない場合があります。

 

また、同じ部分が接着していても、手が全体に(奏者から見て)左側に傾いていたからといってロシア流の奏法とは限りません。

 

ポイントとなるのは、

 

右手人差し指(と中指)で音を出すコントロールをしているか?

 

つまり

 

右手人差し指(と中指)で弦と弓の接着点を意識できているか?

 

が大事なのです。 

 

多くの奏者が左に傾いているように見えますが、ロシア奏法特有の右手のコントロールをしているかどうかは見ればわかります。

 

youtu.be

 

 

彼はとても素晴らしい!!奏法ももちろんですが、音楽も素晴らしい!!

 

どう指導したらこのようになるのか。。。とにかく素晴らしいです。

 

彼の演奏をお借りして解説したいと思います。

 

曲中どこも素晴らしいですが、一例をあげてご紹介します。

 

f:id:yoshikoviolingarden:20201113120705j:plain

10小節目のFの音を弾いている0:42あたりの画像です↓

f:id:yoshikoviolingarden:20201113120637j:plain

この音はfを保ったまま次の音までつなげたいところであり、特に右手のコネクションの効果がよくわかる部分だと思います。

 

無駄な動き(肩や腕を極端に上げる、険しい表情をするなど)がなく、右手の良いコネクションによる適度なプレスによって良い音と良い音楽が作られています。動画でご確認ください。

 

人差し指(と中指)のコネクションは、ドアノブを左に回すイメージで、どこにも力は入れません。

 

てこのイメージで右手を左側に少し傾けることにより、ダイレクトに弦と弓の接着点へ重さが伝わるのが特徴です。

 

このコントロールをしない場合は、肩、腕、手かどこかに無理な力が入ってしまう、あるいは体全体を揺らすことで一生懸命に音楽をつなぎとめようとすることになります。

無駄な労力です。

そのように弓に乗せられた重さは、弦と弓の接地点にピンポイントで伝わらず良い音にはなりません。良さそうな音に聞こえても、ロシア流の奏法による音には敵いません。

 

まずは、右手を左側に少し傾けることによる、てこの原理をイメージしてください。

どんな時もです。

ロシア流の奏法って何だ?

ロシア流の奏法を広めたいと言いつつ、ロシア流の奏法って何だ?と思いますよね。

 

検索してもいくつか流派があって、、、とか弓の写真が載っている程度でもっと深く追求されているものが見当たりませんでした。

 

なので私なりに解説します。あくまで個人の意見です。

師匠の師匠であるオイストラフの素晴らしい奏法を独自に解説できたらと思います。

 

f:id:yoshikoviolingarden:20201030123528j:plain

弓の持ち方1

指がだいぶ斜めに傾いているのがわかるかと思います。

f:id:yoshikoviolingarden:20201030123347j:plain

弓の持ち方2



弓の先に来ると薬指と小指が離れてこのくらいまで傾きます。

f:id:yoshikoviolingarden:20201030123305j:plain

弓の持ち方3

師匠のフェイギン先生に度々言われたことは、人差し指と中指の、第一関節と第二関節の間の部分での「コネクション」です。

f:id:yoshikoviolingarden:20201030124005j:plain

弓の接地面

この部分で弓が弦に接する力を加減するのです。

これをフェイギン先生が「コネクション」と言っていたので、ここでも「コネクション」と表現していきたいと思います。

 

基本の持ち方として、親指と小指は丸くしてなければなりません。

微妙な弓のコントロールをするのに伸びたり反ったりしていると手が硬直してしまい、柔軟なコントロールできなくなるからです。

 

つづく

ロシア流の奏法を広めたい

私は、オイストラフに師事していたグレゴリー・フェイギン教授に師事していたことで、日本にいながらロシア流の奏法を学ぶことができました。

 

フェイギン先生はウクライナ出身のロシアで有名なヴァイオリニストです。

 

フェイギン先生はモスクワ音楽院で巨匠ダヴィッド・オイストラフに師事しています。

 

フェイギン先生のレッスンは通訳なしのお互い超がつくほどのカタコト英語。。

 

深い話ができなかったのが悔やまれますが、カタコトながら教わったことを振り返るとロシア流の奏法や音楽を習ったのだと思います。

 

この教わったことを客観的に調べたいと探してみましたが、少なくとも日本語で書かれたロシア流の奏法、ロシアメソッドなるものが書かれた書籍は見つかりませんでした。

 

(ピアノでは少し見られましたが。)

 

ご存知の方は是非ともお知らせいただきたいです!!

 

おそらく鈴木メソッドのように、これが「ロシアメソッド」「ロシア奏法」というものはないのだと思います。

 

しかし、ロシア人ヴァイオリニストや、ロシア人に師事しているヴァイオリニストには共通した奏法が見られるので、私なりに解釈し、それを日本でもっと広めたいと思うのです。

 

便宜上「ロシア流の奏法」とわかりやすく表記していきますが、あくまで私の解釈によることをご理解ください。

 

ピアノでもヴァイオリンでもロシア奏法またはロシアメソッドについて情報をお持ちの方、ご連絡ください!!

なんと言ってもオイストラフ

私は学生時代から、モスクワ音楽院にてダヴィッド・オイストラフに師事していたグレゴリー・フェイギン教授に師事していました。

 

フェイギン先生もオイストラフをとても尊敬しており、オイストラフがどうやって弾いているのか研究されていたようです。

 

レッスン中にオイストラフがこう言った、ととても貴重な言葉を聞くこともありました。

いずれ紹介します。

 

よって習ってきた奏法や音楽もオイストラフの音楽に近いものがあり、やっぱりなんと言ってもオイストラフの演奏はいつ聴いても感動の嵐。

 

単なる技術が上手いというレベルではないですね。魂が揺さぶられ、幸せを感じます。

 

今日のおすすめ⭐︎

ベートーヴェンのヴァイオリンコンチェルトの中から2楽章。

このゆっくりな中で、派手に見せることなく力むことなく溢れる音楽がたまりません。

特に7:19からの右手にご注目!


David Oistrakh - Beethoven Violin Concerto in D major, 2. Largetto

 

上記とは異なる演奏会ですが、全曲はこちら↓


David Oistrakh - Beethoven - Violin Concerto in D major, Op 61 - Kondrashin