右手のコントロール 〜Teo GERTLERの演奏から〜
ロシア流の奏法って何だ?の記事で、右手のコネクションのため、人差し指と中指の接着する部分についてお話ししました。
特に弓先ではその二本が重要ですが、弓元にきたときには弓を浮かせる場合もあるのでその時は必ずしも中指は接着しない場合があります。
また、同じ部分が接着していても、手が全体に(奏者から見て)左側に傾いていたからといってロシア流の奏法とは限りません。
ポイントとなるのは、
右手人差し指(と中指)で音を出すコントロールをしているか?
つまり
右手人差し指(と中指)で弦と弓の接着点を意識できているか?
が大事なのです。
多くの奏者が左に傾いているように見えますが、ロシア奏法特有の右手のコントロールをしているかどうかは見ればわかります。
彼はとても素晴らしい!!奏法ももちろんですが、音楽も素晴らしい!!
どう指導したらこのようになるのか。。。とにかく素晴らしいです。
彼の演奏をお借りして解説したいと思います。
曲中どこも素晴らしいですが、一例をあげてご紹介します。
10小節目のFの音を弾いている0:42あたりの画像です↓
この音はfを保ったまま次の音までつなげたいところであり、特に右手のコネクションの効果がよくわかる部分だと思います。
無駄な動き(肩や腕を極端に上げる、険しい表情をするなど)がなく、右手の良いコネクションによる適度なプレスによって良い音と良い音楽が作られています。動画でご確認ください。
人差し指(と中指)のコネクションは、ドアノブを左に回すイメージで、どこにも力は入れません。
てこのイメージで右手を左側に少し傾けることにより、ダイレクトに弦と弓の接着点へ重さが伝わるのが特徴です。
このコントロールをしない場合は、肩、腕、手かどこかに無理な力が入ってしまう、あるいは体全体を揺らすことで一生懸命に音楽をつなぎとめようとすることになります。
無駄な労力です。
そのように弓に乗せられた重さは、弦と弓の接地点にピンポイントで伝わらず良い音にはなりません。良さそうな音に聞こえても、ロシア流の奏法による音には敵いません。
まずは、右手を左側に少し傾けることによる、てこの原理をイメージしてください。
どんな時もです。